
「パーソナルジムって、実際のところ儲かるの?」
これから開業を考えている人にとっても、すでに経営している人にとっても、避けて通れない問いだと思います。ネットで調べると「儲かる」という記事も「儲からない」という記事も両方出てきて、結局どちらが本当なのか分からなくなることも多いのではないでしょうか。
こんにちは、フィットネスジム専門のWebマーケター、ぎんじろう(帯刀銀次郎)です。この記事では、現役パーソナルトレーナーとして現場に立つ立場から、パーソナルジム経営の収益構造について、できるだけ正直に整理します。
なぜ、「儲かる」「儲からない」で意見が割れるのか
この問いに対する答えが割れる一番の理由は、パーソナルジムという業態が、実は経営の仕方次第で結果が大きく変わるビジネスだからです。
フィットネス業界全体で見ると、ある調査では年度によって赤字の企業が3割前後、増益の企業が4割前後という結果も出ています。つまり、同じ業界の中でも、儲かっているところと儲かっていないところが、はっきり分かれているということです。パーソナルジムも例外ではなく、「パーソナルジムだから儲かる」でも「パーソナルジムだから儲からない」でもなく、経営の設計次第でどちらにも転ぶ、というのが正直なところです。
大手フィットネスクラブのような大型設備・大人数モデルとは異なり、パーソナルジムは少人数・高単価モデルです。この構造の違いを理解しないまま「ジム経営は儲からない」という一般論だけを鵜呑みにするのも、逆に「パーソナルは高単価だから絶対儲かる」と楽観視するのも、どちらも実情とはズレています。
実際に儲かっていないジムを見ていくと、共通するのは業態そのものの問題ではなく、ターゲット設定が曖昧なまま開業してしまう、立地選定を事業計画なしに決めてしまう、集客戦略を準備せずに開業してしまう、といった「準備不足」であるケースがほとんどです。裏を返せば、事前に構造を理解して準備しておけば、避けられる失敗も多いということでもあります。
パーソナルジムの収益構造を、数字で見てみる
抽象的な話だけでなく、大まかな数字感を持っておくことが判断の助けになります。
パーソナルジムの損益分岐点となる会員数は、目安としておよそ30名前後とされています。24時間無人ジムの300名、総合クラブの1,500名と比べると少なく見えますが、その分、客単価が高いモデルであることが前提になっています。
客単価の目安としては、月8,000円前後からのプランもあれば、月15万円〜30万円という高単価帯の大手パーソナルジムブランドもあり、価格帯にはかなり幅があります。現場感覚としての営業利益率は、10%台前半程度が一つの目安とされることが多いようです。
開業に必要な資金は、パーソナルジムの場合で最低200〜300万円程度が目安とされ、24時間ジムや総合クラブと比べると小さく始めやすい業態です。ただし、開業直後から黒字化するケースは少なく、数ヶ月分の運転資金を見込んでおく必要があります。
家賃については、売上の20〜25%以内に収めるのが安定した経営の目安とされています。立地選びの段階で、この比率を意識しておくことが、後々の利益率に大きく影響します。
さらに、収益源を月謝のみに頼らず、回数券・法人契約・オンライン指導・物販といった形で複数化している事例も増えています。月謝収入だけに依存していると、退会が続いた月の売上の落ち込みが大きくなりますが、収益の柱を複数持っておくことで、経営の波をある程度吸収できます。
どうやって、儲かる構造を作っていくか
数字の目安を踏まえた上で、実際にどう経営を組み立てていくべきかを整理します。
ステップ1:損益分岐点となる会員数を把握する
まず、自分のジムが何名の会員を確保すれば黒字化するのかを、家賃・人件費・その他固定費から逆算しておきます。この数字が分からないまま集客だけを頑張っても、ゴールが見えない状態で走り続けることになってしまいます。
ステップ2:客単価と稼働率のバランスを設計する
客単価を上げるか、稼働率(会員数・セッション数)を上げるか、あるいはその両方か。自分のジムのコンセプトやターゲットに合わせて、どちらの軸で売上を作るのかを明確にしておきます。
高単価・少人数モデルを目指すなら、それに見合う専門性や差別化ポイントが必要になります。逆に、稼働率重視のモデルであれば、いかに効率よく多くの会員を回せるかというオペレーション設計が重要になります。どちらが正解ということはなく、自分の強みやリソースに合った方を選ぶことが大切です。差別化の考え方については他ジムとの差別化、できていますか?でも詳しく解説しています。
ステップ3:新規集客だけでなく、定着(LTV)を高める
フィットネス業界は、会員の流出(チャーン)が経営を直接圧迫する構造を持っています。月々の退会率は業態によって差がありますが、新規集客ばかりに気を取られて定着への意識が薄いと、穴の空いたバケツのように会員数が増えていきません。この点についてはパーソナルジムの退会率、下げませんか?で詳しく解説しています。
ステップ4:固定費、特に家賃をコントロールする
家賃は黒字ラインに直結する固定費です。売上の20〜25%以内に収まる物件を選ぶこと、そして必要以上に広い物件を選ばないことが、利益率を大きく左右します。
ステップ5:集客の仕組みを、外部委存だけに頼らない
広告費に頼りきった集客は、利益率を圧迫し続けます。MEOやホームページ改善など、継続的なコストがかからない集客の土台を作っておくことが、長期的な利益率の改善につながります。この考え方はフィットネスジムのWeb集客方法まとめでも解説しています。
今すぐ、自分のジムの数字と向き合う
「儲かるかどうか」は、業態そのものよりも、経営の設計と日々の数字管理にかかっています。感覚だけで経営を続けるのではなく、まずは自分のジムの損益分岐点となる会員数、現在の客単価、退会率を、一度数字として書き出してみることをおすすめします。
日吉店でも、こうした数字と向き合いながら改善を重ねた結果、無料体験の申込数は半年間で32件から50件、約1.6倍になりました。数字を把握することは、経営の不安を減らす一番の近道でもあります。
「儲かるかどうか」という漠然とした不安のまま経営を続けるより、損益分岐点・客単価・退会率という3つの数字を具体的に把握しているだけで、次に何をすべきかの判断はずっとしやすくなります。感覚に頼った経営から、数字に基づいた経営へ。この視点の切り替えが、結果的に一番の近道になると考えています。
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